多種多様な敷布団の素材。どれが自分に合うか悩んでしまいますよね。
「昔からずっと使われたきたのだから、やっぱり綿がいいんじゃないの?」
そう思う方もいらっしゃるかもしれません。
それでは、日本で布団がいつごろから使われていたかご存知ですか?
十二単や束帯を身にまとった貴族たちが、フカフカの布団で眠るすがたを想像した方もいるでしょう。
いえいえ、彼らの時代にはまだ、布団は存在しなかったんですよ。
- ★ 綿は布団に最初に使われた繊維であり、なおかつ最適な天然繊維!
- ☆ 綿布団のデメリットを化学繊維で補う
- ★ シンプルに、「綿混敷布団」という選択肢
綿は布団に最初に使われた繊維であり、なおかつ最適な天然繊維!
布団が誕生したのは、戦国時代から江戸時代の初頭にかけて、といわれています。
寝具として布団を敷いて眠るようになってから、まだ400年ほどしか経っていないなんて、オドロキですよね。
平安時代の貴族たちは、畳を何重かに重ねた上に、絹織物などを敷いて、その上に直接寝ていました。
さらに、体の上に被せるのも、昼間に自分たちが来ていた着物だったそうです。
源氏物語のころの睡眠環境は、こんなに腰が痛くなりそうなものだったんですね!
一般庶民に至っては、板の間に、ござかむしろを敷いて、こちらも昼間の着物をかけて寝ていました。
このころの庶民の衣服は、麻など、身の回りにある植物の繊維を使ったものでした。
麻は幾重にしたって冬は寒いでしょうから、いつも寒さにふるえていたでしょうね。
綿の栽培で、日本人の衣服が劇的に変化!
木綿の種が日本に流入したのは、平安時代といわれていますが、実際に綿の栽培が軌道にのって、市場に出回るまでの品質になったのはずいぶん後です。
平安時代の700年あと、室町末期の戦国時代といわれています。
綿は中国や朝鮮から輸入され、軍事面で重宝されていました。
火持ちがよく、すぐに燃え尽きないという綿の特徴を生かして火縄銃の火縄に利用したり、また足軽の兵衣にしていたのです。
そんな綿が、日本でも栽培できるようになったとわかれば、戦国大名たちが放っておくはずがありません。
こうして、全国各地で綿の栽培が盛んになっていきました。
やがて戦国時代が終わり、江戸時代に入りますが、綿の栽培は続きました。
綿は、軍事的な役割を終えて、ようやく庶民の手に届くようになります。
まず、一般庶民の服装は麻から木綿へと変わっていきました。
庶民の衣服が劇的に変化したのと時を同じくして、綿を布団の綿(わた)として使いはじめるんです。
保温性バツグンの綿布団
江戸時代の庶民は、綿の衣服を着た時のあたたかさに感激したでしょうね。
綿の保温性は、綿の構造によるものです。
綿の断面は中空、つまりマカロニのように中が空洞になっています。
そこにあたたかい空気をとじこめるので、保温性に優れているのです。
保温性に優れた木綿の衣服や、木綿を「綿(わた)」として詰めた敷布団や掛け布団。
戦国時代に必要とされた綿栽培が、太平の世にうつって、今度は生活の向上に必須のアイテムとなっていったのですね。
ちなみに、掛け布団は現代の四角の形ではなかったんですよ。
袖や襟があって、着物のような形をしていました。
昼間の着物を被って寝ていた習慣の延長として、掛け布団が生まれたということですね。
布団が誕生したばかりの江戸時代では、綿入りの布団は大変な高級品でした。
一般庶民の手にはなかなか届かず、中古の綿布団を購入して、へたりが出てくれば自分で打ち直しをして、大切に使っていたようです。
吸湿性がすぐれているから、敷きっぱなしは厳禁
庶民にも、綿布団が普及しはじめたのは明治以降。
外国産の綿が流入するようになったことがきっかけです。
安価な綿の輸入攻勢で、日本の綿の栽培が衰退してしまうのですが、ようやくあたたかい新品の布団が手に入る価格になりました。
くじめ屋の創業はまさにこのころ、明治35年。
「久次米屋布団店」として開業し、以来今日まで、布団を作り続けています。
さて、ようやく庶民にも普及した綿布団ですが、はじめは取り扱いがうまくいかなかったようです。
綿布団を年中敷きっぱなし、つまり万年床にして、カビやダニが好む不衛生な環境を作っていたのです。
綿の持つ吸湿性の良さと向き合う方法を知らなかったことが原因なんですけどね。
保温性につづく、綿の特徴の2つ目に高い吸湿性があげられます。
綿が中空構造であること、繊維自体が非常に細いことで吸湿性が高く、睡眠中にコップ一杯分程度
かくといわれている汗を吸ってくれます。
ただ水分を発散する力、放湿性はゆるやかなので、万年床にしていてはカビを生やしてしまいますよね。
高い吸湿性とゆるやかな放湿性を持つ綿布団に適した収納場所として、押し入れが生まれます。
起きたら、布団を押し入れにしまう。
晴れの日は布団を干す。
布団にまつわる生活習慣ができて、まだ100年ほどなんですね。
支持性にすぐれているから、天然の芯材
栽培が盛んになったことで布団に使われるようになった綿ですが、眠りを科学する現代になって、綿は布団に必要な機能を備えていたことがわかってきました。
保温性、吸湿性、放湿性に加え、敷布団として使用する際、綿の弾力性によって綿布団は体を支える支持性をもたらします。
綿の弾力性は、天然のちぢれによるものです。
繊維の太い綿の種類を選べば、綿の持つちぢれがコシをうみ、体を支えてくれる敷布団になります。
綿は布団に最初に使われた繊維であり、なおかつ最適な天然繊維だったんですね。
綿布団のデメリットを化学繊維で補う
綿は、布団に最適な天然繊維といえますが、デメリットがないわけではありません。
戦後は化学繊維がうまれ、また綿以外の天然繊維も外国から流入しはじめました。
綿布団のデメリットを補うべく、様々な種類の布団が開発されます。
ここから先は、敷布団に焦点を当てて話を進めていきますね。
しまうのも重い。干すのも重い。とにかく重い!
綿の布団のデメリットといえば、とにかく重いこと。
就寝中は優れた機能を備えた布団であっても、眠るまで、眠った後が大変なんです。
自分1人の布団だけならまだしも、家族全員の布団の上げ下ろしは重労働。
さらにフカフカの布団のためには天日干しが必要だから、さらに労力がいります。
布団の重さに辟易している時期に登場したのが、ポリエステル入りの敷布団です。
ポリエステルは昭和16年にイギリスで開発され、日本でも昭和33年から生産がはじまりました。
ポリエステルの優れているのは軽いこと。そしてコストを抑えられることです。
綿とポリエステルをまぜた敷布団は、まずは「フワフワで軽い」新しい敷布団として受け入れられたようです。
しかしこの「フワフワ」、行き過ぎると体が沈み込んでしまいます。
支持性がなくなると、かえって寝疲れしてしまう。
当時、固綿(かたわた)などはなく、一層で作られていたのも原因でした。
羊毛敷布団が日本に入ってきたのは、昭和40年代のころです。
羊毛の強みは、吸湿性に加え、高い放湿性があることや、綿よりも保温性が高いこと。
しかし、羊毛は高級品で、通常の布団と同じ厚さにしようとすると、値段はぐんと跳ね上がります。
また、厚くするとクッション性が高いため、支持性を保つことができません。
羊毛や、同じく動物繊維のキャメルの敷布団は、2枚重ねで使用した方がよいのです。
ポリエステル入りや、羊毛の敷布団に支持性を持たせるために、昭和50年から60年あたりから芯材として固綿(かたわた)が使われるようになりました。
固綿とはふとん用の綿(わた)に熱を加えたり、樹脂を吹き付け圧縮して固くし、厚さを均一に成形した綿のことです。
この固綿に加工のしやすいポリエステルを使い、そのまわりを、巻わたでサンドイッチにして、三層構造にします。
巻わたには、綿とポリエステルを混ぜたものや、羊毛とポリエステルを混ぜたものを使います。
これで支持性が保たれるようになりました。
綿の敷布団の重さを、ポリエステル固綿の敷布団が解消してくれます。
アレルギーが心配
重さに次いで気になるのは、ホコリやダニでしょうか。
綿は、繊維クズが出やすいので、どうしてもホコリが出やすくなります。
また、綿は吸湿性に優れているので、ジメジメした環境が好きなダニが住み着いてしまいます。
ホコリやダニなどのハウスダストに対して、アレルギーを起こしてしまう方が増えていますね。
症状としては、喘息、気管支炎、アトピー性皮膚炎などです。
ポリエステルなどの化学繊維は、綿などの天然繊維に比べて、機能を与えるための加工に様々な手法があります。
ポリエステルはもともとホコリの出にくい繊維ですが、表面をコーティングしてさらにホコリが出にくい加工を施したり、ダニがつきにくい加工を施したりもできるんです。
加工しやすいポリエステルは、綿のデメリットを打ち消すことができます。
シンプルに、「綿混敷布団」という選択肢
布団の素材として適している綿と、綿のデメリットを補ったり、様々な加工を施せることで機能を上乗せすることができるポリエステルを組み合わせたシンプルな敷布団があります。
老舗の布団屋だからできること
綿混敷布団は、綿の敷布団の寝心地を、コストを抑えて、他の機能もプラスしてどうにか提供できないものかと考え、くじめ屋が作り出した自信のオリジナル敷布団です。
はじめにおどろくのは、この布団の値段でしょう。
明治35年創業の老舗布団専門店として、お客様に安くていいものを届けたい、という思いから生まれた、くじめ屋オリジナルの敷布団です。
これまでの経験と実績を活かして、貿易商社や工場と直接取引を行っています。
余計な流通を一切省き、流通工程にかかるコストをカットしました。
お試しに購入していただくにも十分な価格になっていますし、実際手に取っていただければ、品質の高さを感じていただけると思います。
しっかりボリュームの綿混敷布団
綿混敷布団は、約40mmのポリエステル固綿を使用し、敷布団の全体で約65mmの厚さとなり、支持性を保つことができます。
中わたには、保温性と吸湿性に優れた綿と、綿と同じ中空構造を持ち、繊維表面に水となじみやすい、特殊親水処理を施したポリエステル、「マイティトップⅡ」を使用しています。
綿の肌触りや、保温性・吸湿性に、ポリエステルの軽さやホコリの出にくさや防ダニなどのアレルゲン対策をプラスしました。
シンプルな構造ですが、綿の敷布団に近いものを求めている方には、おすすめできる商品です。
「調湿」と「防カビ」をプラスした、備長炭入り綿混敷布団
備長炭シート入り綿混敷き布団は、綿の敷布団と比較してどうしても劣ってしまう、保温性・吸湿性を補うために、備長炭シートをプラスしました。
固綿は、綿混敷布団よりも厚い約50mmのポリエステル固綿を使用しているので、敷布団の厚さは約80mmにもなります。
縫製にダイヤキルト加工を施すことで、中わたを固定して、ヘタリを防ぎます。
いかがでしたか?布団の歴史をふりかえりながら、綿がいかに布団に適した素材であるか、また綿のデメリットも分かりましたね。
敷布団に必要な機能は保温性、吸湿性、放湿性、支持性だということをお話しました。
もう一つあげるとすれば、それは自分にフィットするかどうか、だと思います。
敷布団を選ぶ時のヒントになれば、幸いです。