敷布団といえば、かつては木綿が一般的でしたが現代では様々な素材の敷布団があります。
例えば昔ながらの木綿や真綿、羊毛や化学繊維のポリエステル。
最近ではインスタントラーメンのような形をした樹脂マットレスも、敷布団タイプのものがたくさんあります。
それぞれの素材によって特徴が違うように、同じサイズの敷布団でも素材によって重さに違いがあります。
ここでは、主に重さの違いについて考えていきましょう。
- ★ 素材で重さを考えよう
- ☆ 敷布団に扱いやすさが必要な理由
- ★ 敷布団を重さで選ぶ、という選択肢
素材で重さを考えよう
敷布団の素材は、大きく天然繊維と化学繊維に分けられます。
さらに天然繊維には、木綿や麻などの植物性繊維と、羊毛や羽毛などの動物性繊維があり、特徴や素材そのものの重さもそれぞれ違います。
木綿は暖かいほど重い
植物性繊維といえば代表格は木綿ですね。
保温性の高さと、吸湿性に優れているのが大きな特徴です。
睡眠中の体温を保って暖かく、寝汗をかいてもしっかり吸収してくれるのでべたつきにくいのがいいところ。
ただ、その吸収した水分を空気中へ発散する放湿性は弱いので、カビを防ぐ為に定期的に天日干しをして、乾燥させる必要があります。
ちょっと手間ですが、日に干した布団のふんわり暖かな心地よさは格別ですよね。
天日干しをした木綿布団の優しいふんわり感は、実は木綿ならではの性質です。
中が空洞で自然のねじれがある木綿繊維は、積み重なることで、さらにたくさんの空気を含みます。
たとえ湿気を含んでも、乾燥すれば繊維が収縮してまた空気を含むことができるので、元のふんわり感がよみがえるのです。
さらに何年も使ってへたってしまった布団でも、繊維をほぐし直す打ち直しをすれば、復活して新品のようになります。
湿気の多い日本の風土で長く愛されてきた木綿布団。
その理由は、木綿繊維ならではの性質と、手入れをすれば長い年月にわたって使えるという、実はコストパフォーマンスに優れたところかもしれませんね。
かつての嫁入り支度の布団のように、木綿わたをたくさん詰めた敷布団は、しっかりした厚みで寝心地も良く、暖かい布団になります。ですが、同時に価格と重さも増していきます。
木綿100%のシングルサイズ敷布団の平均的な重さは、約6~7kg。
年配の方や女性には「重い」と感じる重さかもしれません。
湿気をため込むと、その分重さが増すので、さらに重く感じます。
暖かいのはいいけれど、毎日の布団の上げ下ろしや日光に干すときなど、人によっては重労働になってしまうかもしれません。
かといって敷きっぱなしでは、じめじめした湿気が取れず、ダニやカビも心配です。
そこで木綿わたを少し減らして5kg前後にすると、7kgのものに比べて確実に軽くなりますが、薄くなった分だけ機能が劣ってしまいます。
一枚で使うと暖かさを感じにくかったり、薄いために体が直に床や畳に当たっているような底つき感につながることもあるようです。
薄さを補うには、敷布団の下に手頃なマットレスや敷布団をもう一枚敷きましょう。
重ねることによって空気の層ができて暖かくなり、底付き感も改善されます。
この二枚重ねの方法、「一枚増えて面倒」と考えれば欠点ですが、「木綿の良さを活かしながら価格を抑えられる」と考えれば良い方法かもしれません。
重さを我慢して寝心地をとるか、軽さを重視して寝心地を我慢するか、はたまた価格を抑えてちょっと面倒な2枚重ねにするか、悩ましいところですね。
羊毛敷パッドは重いか軽いか
敷布団に使われる動物性繊維といえば、やはり羊毛が身近です。
最近ではラクダの布団もよく見かけますが、獣臭さをなくすため品質の良いもの、製造工程の優れたものが出回っているので、高級なイメージがあるかもしれませんね。
獣毛は動物の体を守る為の体の一部なので、その動物が過ごしやすいような機能がもともと備わっており、保温性、吸湿性のほか、放湿性にも優れているのが特徴です。
特に羊毛はその構造から弾力性にも富んでいるので、敷布団には適した素材です。
ただ繊維同士が絡み合いやすく他の繊維に比べてカサ高が少ない為、ポリエステルとの混合で使われることが多いようです。
混合わたの敷布団は、軽いのにクッション性が良く手頃な価格のものが多いので、たくさんの商品が売られています。
同じ羊毛混敷布団でも、羊毛の比率によって素材の特徴が変わります。
羊毛が少ないものほど価格は低くなりますが、比率が50%に満たないものはポリエステルの性質のほうが強く現れるので、購入時は先に比率の確認をした方が良いでしょう。
羊毛100%の敷布団は2~3cm厚さのものが一般的で、大体3~4kg程度の羊毛が使われています。
重くはないけれど一枚で敷くには薄いので、必ず下にもう一枚、敷布団やマットレスなどを使います。
つまり羊毛100%敷布団の場合、保温性、吸湿性、放湿性などの特徴を活かして敷きパッドのように利用し、弾力性などの寝心地は下に敷くものに任せることになります。
敷きパッドと考えると、3~4kgの重さを「重い」と感じるのか、「軽い」と感じるのか、微妙なところかもしれませんね。
化学繊維は何といっても軽さが長所
敷布団の中わたとして利用する化学繊維では、ポリエステルが圧倒的人気です。
ポリエステルは石油を原料とする合成繊維です。
生産時に繊維そのものに加工をしやすいので、様々な加工を施すことができます。
菌やダニが心配な方には抗菌加工や防ダニ加工は頼もしい機能ですよね。
他にもポリエステルの弱点である燃えやすい、という性質を補う為、燃えにくくなる難燃性加工や、静電気を起きにくくする静電気防止加工などもあります。
これからも、需要にあわせて新しい加工がされるかもしれませんね。
ポリエステルの長所としてあげられるのは、やはりクッション性の高さと耐久性、さらにたくさん詰めても軽い、ということ。
また原料のコストが安く工場で大量生産できる為、製品としての価格を抑えられることも大きな特徴の一つです。
使い心地においては、天然繊維に比べるとどうしても吸湿性が低いので、ムレやすいのが欠点です。
保温性においても、やはり天然繊維には劣ります。
様々な加工も効果の期限があるので、何年くらい使えるのか、あらかじめ確認したほうがいいでしょう。
ポリエステル100%の敷布団は、欠点である吸湿性の低さを側生地で補い、重さによる扱いにくさの解消を最優先に考えた商品であるのが一般的です。
重さも2~3kgに抑えたものが多く、持ち運びしやすく、コンパクトな収納が可能です。
ただ軽さを追求するあまり薄すぎると、底つき感の原因になるので、寝心地の工夫がどう施されているかは大切なポイントです。
敷布団に扱いやすさが必要な理由
睡眠中にかいた汗は湿気となって下へと溜まっていきます。
放湿性の高い素材や、立体構造の樹脂など通気性のいい素材でも、敷布団を敷きっぱなしでは床や畳の間でムレてカビが発生してしまいます。
つまりどんな素材でも敷きっぱなしは厳禁です。
定期的に床や畳から持ち上げて、敷布団の下になっていた床や畳にも通気を促す必要があるのです。
となると敷布団の重さは、扱いやすさに直接関わってきます。
いくら寝心地がよくても、毎日の上げ下ろしが苦痛になるほど重い敷布団は、扱いやすいとは言えません。
やがて手入れが不十分になってダニやカビの温床になったり、無理をして腰を痛める原因になったりするかもしれません。
「布団の上げ下ろしは筋力トレーニングの一環」と考える人は別ですが、多くの人にとって敷布団は重いより軽い方が扱いやすい、というのは自然な考えですよね。
軽さと寝心地の両立へ
問題は、軽さと寝心地に関わる機能をどう両立させるか、ということです。
敷布団は素材ごとに一長一短あります。その長所を活かすには最低限必要な厚みがあり、それは重さに直結します。
素材の長所を活かしながら軽くして、薄くなった分はマットレスと二枚敷きで補足する、という方法もありますが、一枚で使うことが出来ればもっと便利ですよね。
一枚でも、軽くて寝心地がいい敷布団。
実は、あります。
詰め物をすべてわたにするのではなく、中心部に固わたを芯として入れ、その周囲を柔らかなわたでくるむことで中からしっかり体を支えます。
このような構造を「三層構造」と言います。
例えば『超軽量体圧分散三層敷き布団』はくじめ屋の商品ですが、こちらは中芯に超軽量プロファイルウレタンという板状のウレタンをつかった、三層構造の敷布団です。
しかもこのウレタン、単なる板状ではなく全面をデコボコにカットしているので、弾力性とともに体圧分散にも優れており、難しかった軽さと寝心地を両立しています。
この中芯の周囲を防ダニ抗菌加工を施したポリエステルわたでふんわりくるみ、10㎝もの厚みを実現。
三層に重ねることで空気の層ができて、ふんわりふっくら、暖かさと優しい寝心地を楽しめます。
それでいて重さは弊社の従来品「羊毛混三層敷き布団」の約40%に当たる2,4kg。
さらに側生地は綿100%なのでサラッと爽やかな肌触りです。
シンプルな生成り無地なので柄が透けることなく、ご自身でお好みのカバーを付けていただけます。
年配の方や女性など、重さが気になる方におすすめの敷布団です。
敷布団を重さで選ぶ、という選択肢
軽さだけを追求した敷布団では、大切な寝心地が置き去りにされてしまいます。
逆に、寝心地ばかりを追求しても重すぎる敷布団は扱いにくく手入れが大変です。
有名人が使っている流行の敷布団が、誰にでも寝心地がいいとは限りません。
敷布団選びは他の誰かの価値観ではなく、自分との対話から始まります。
あなたに必要な要素は何でしょうか。
素材の違いを理解したうえで、使う人に合った扱いやすい敷布団を選んでください。
敷布団を重さで選ぶ、という選択肢もあっていいと思います。